モンキー・ビジネス

バイト先にいる困ったちゃんにだいぶ困っている。

その困ったちゃんは女子高生（17才）で、
何が困っているかかと言うと、バイト内で恋ばかりしているのだ。

女子高生が恋ばかりしていると聞いたら諸兄たちは
「それはやんごとなきめでたきことなり」と、にわかに浮き足立って小躍りし、
近習の者に鼓を持たせ、舞いをひと差し披露したいと所望するところだと思うのだが、
事態はそんな男子中学生の考える妄想のように上手く進んではくれない。

こういうことは言いたくないのだが、
その女子高生（以後、沙知代）が、一般的にあまり好感の持たれ難い容姿なのだ。
具体的に言うと体脂肪率が誇張抜きでオーバー・フォーティなのである。

ボクは普段から容姿の良い人には下心付きで優しいけれど
容姿のアレな人に対して優しくしないなんてバカな真似はしないよう心掛けている。
自分がブサイクだからこそ言えるのだが、容姿だけで判断されてたらやってられないのである。
今回の佐知代に対するこの誹謗中傷ぶりも彼女の外見だけを見て言っているわけではない。
外見だけではなく中身まで十分腐りきっているのである。

ボクは元々、職場ではあんまり恋愛するもんじゃないよ。という考え方の人間なのだが、
もしボクが職場恋愛推進派であったとしても
到底許せるものではないくらい沙知代のバイト先でも恋愛っぷりはありえない。
その一端をご説明しよう。

彼女がバイトに入ってきたのが半年前。
この６ヶ月の間に彼女が一方的に恋した男子バイトの人数が７人。
なぜ分かるかというと、佐知代はひとたび恋に落ちると、恋に落ちている間中
暇さえあればず～っと、じ～っとその相手を見ているからである。

そしてそのお相手に他の女子が話し掛けるとその女子を敵とみなし
映画・エクソシストのリーガン少女を彷彿とさせる形相で敵を睨みつけるからである。

んでもって、自分のバイト時間が終わってもお相手が終わるのを待っていて
「今終わったんだ。偶然だね！」っと駐車場、もしくは駐輪場までの帰り道をランデブーするのである。
その行為自体はかわいいものだと思えなくも無いのだがそこからがかわいくない。
なんと、そのランデブーに脚色に脚色を加えてリメイクを繰り返し、
「彼が私を待っててくれたのぉ。超ラブラブなのだのだのだ」
　なんて噂を自分でバイト中に垂れ流すのである。

こんなことをされて嫌がらせと思わない心の広い大人が何人いるだろうか？
否、誰もいないだろう。

まあいい。これだけで終わってくれるなら追い剥ぎに遭ったと思って泣き寝入りもできる。
しかし、沙知代の場合、片思いの後には必ず告白が待っているのである。

続く。