モンキー・ビジネス

続き。

彼氏が別荘を３つ持っていてホストみたいにかっこいい。という高田純次の語るUFO目撃談よりも信じられない話を聞かされてボクが魂を抜かれた人になっている隣で、一緒にその話を聞いていたバイト仲間が「その彼氏の写真を見てみたい」と彼女に催促。
すると彼女は「じゃあ明日プリクラ持ってきますね」と何の抵抗もなくすんなりOKのお返事。

翌日、彼女はプリクラを忘れてきた。

翌々日、当然忘れてきた。

翌々々日、持ってきた、訳が無い。

聞く気も失せて数日が経ち、「そー言えばプリクラどうした？」と尋ねてみると、彼女は言った。

「別れたんで全部捨てちゃいました」


裏で行われていた賭けにボクは勝ち、ラーメンを一杯奢ってもらった。うまかった。


それから２週間が過ぎた頃、彼女が形の不揃いなクッキーをこれみんなで食べてくださいという感じでバイト先に持ち込み、「パティシエの彼氏が作ったんですぅ」と言ってきた。聞いてもないのに。そしてクッキーは普通に硬かった。

さあ、そのパティシエの彼氏なのだが、ボクたちはどんな嘘が飛び出すのかとっても興味深々だったのだけれど、もうその頃にはすっかり誰も彼女とは係わり合いたくなくなっていたので誰も尋ねられずにもがき苦しんでいた。

しかしそんな時、「私、聞いてもいいよ」と言ってくれる勇気ある者（勇者）が現れた。百戦錬磨の八方美人&天性の野次馬、推定年齢50歳の主婦バイトである。やはり歴戦のつわもの、これが経験値の成せる業か！と素直におばちゃんの凄さを思い知った。

その勇者が聞き出した情報によると

２年前、普通の友達だった彼と喫茶店に行き、ケーキを食べていた時に何気なく「私、お菓子大好き」と発言。

数日後、彼は誰にも告げずにフランスへ。

そしてつい最近帰国。

空港から彼女へ２年ぶりの電話。

「君がお菓子が好きって言ったからボクはフランスへ渡ってパティシエの勉強をしてきた。好きだ。付き合ってくれ！」


どうツッコミをいれたらいいのかボクには分からない。



まめ知識

彼女の携帯の着信音は初期設定のまま。モテる女はひと味違う。